未来を変える力(4・終)

この話は (1)(2)(3) の続きです。

 

そして私は、予定通り東京に帰ってきた。

札幌でできるだけ時間を空けようとすると、どうしてもそのしわ寄せは前後の週の東京の日程にくる。

実際、帰ってきた週は昼も夜もほぼ仕事でスケジュールが埋まっており、そこに札幌の荷物を片付けたり洗濯をしたり、東京にいないとできない案件をしたり、と様々なタスクが入ってくる。今回、土曜日は終日、日曜日も昼過ぎまで予定が入っていた。

 

そして気づけば週末。日曜日の夜。

来週までのタスクで埋まりつつも、ほぼ終了チェックのついていないToDoリストを見ながら、私はどうしたものかと思っていた。

 

言い訳しようと思えばできないわけじゃない。

でも、そういうことじゃない。

進捗は進捗だ。

前の週の札幌3日間は、1週間先取りのための準備期間ともいえる。

日常が止まっている間にスタートラインにつく準備をした寸法だ。

 

そうやってスタートした1週目。そう、1週目からスリップしている。

早晩スリップするだろうとは思っていたが、早すぎるだろっ!と思った。

これだと、何も変わらない。

 

どうしようかな、と思った。

もちろん、止める気はない。

だけど、来週も同じことになりそうで怖かった。

どうしたらスリップで食い止められるだろう。

または、次のスリップを防げるだろう。

 

今回の件、コーチングでありがちな「やったらコーチに報告する」(という行動を設定しておくことで実行可能性を上げる)という設定を行っていない。

自分で決めて実行すること、うまくいかなくても自分の意志でリスタートし挑戦し続けることに意味があるからだ。

 

だけど、ちょっとだけ助けてほしかった。

来週の私のために、コーチに協力してもらいたいなと思った。

一旦、今自分に起きていることと感じていること、考えていることを報告させてもらおうと思った。

言語化する、しかも読まれる前提で言語化することで客観視したかった。

コーチは私に返事を返す義理はないけれど、うまくすれば何かは返してくれるかもしれない。

 

そうは言っても、私にも羞恥心はある。できていないことを報告するのはやっぱり辛い。

言い訳したい自分もいる。

 

それでも、今の延長線上とは違う未来が欲しかった。

何より、札幌での辛い3日間を経て、うつ状態以前の、否ひょっとしたら人生初めてかもしれない、自分の人生を自分で動かしている感覚をわずかではあるが感じ始めていることに気づいていた。

決められたことに追われるのではなく、選んで決めたことを行う感覚、自分が自分のオーナーになっている感覚と言ったらいいかもしれない。久しぶりなのか初めてなのかわからないくらい、ずっと持っていなかった感覚だった。

 

更に、うつ発症以来の懸案事項が解決するかもしれない、と思っていた。

家族や昔からの友人など、うつ状態だったころの私を(記憶がおぼろげな本人よりも)見ていた人達は、またあの状態に戻ってしまったらどうしよう、という恐怖がなくならないらしい。

「とにかく無理はするな」

「もうのんびり過ごせばいいじゃないか」

と、事あるごとに言われる。

その気持ちは尤もだし、ありがたいことだと思う。

でも、そうやって生活して早17年。

未来に向けた行動をしないことも相まって、手を抜いているつもりはないが、どこか本気になれないという思いがあったことは事実である。

私自身も、どこまでが無理じゃなくて、どこからがやっちゃいけない無理なのか、わからなくなっていた。

 

今回、「わずかでも違和感を感じたら立ち止まる。そしてその違和感に意識を向ける」

ということを覚えつつある。

その結果、持続可能な形で、一生懸命生きてることができるようになる気がしている。

そして、そのことが今はとても楽しい。

 

更に、「これができるようになりたいな」と思うことが増え、

しかも今までのように「結果としてそうなったらいいな」ではなく、

意図して行動して、実現しようと思っている自分がいて、それもとても嬉しい。

 

だから、ここで崩れていくのが嫌だった。

そう思ったら、逡巡しながらも起きたこと、そこから感じたこと、その上でどうしていきたいのかを文章にし、ほとんど終了チェックの入っていないToDoリストの写真とともにコーチに送った。

(実物を自分の目で見るよりも、写真で見る方が、より心をえぐるように客観視されるのはなぜだろう?)

 

コーチからの返事が(コーチング的に)すごかった。

What(何を話しているか)ではなくWho(クライアント本人)にフォーカスしろとは、コーチングを学ぶときによく言われることだが、そうか、こういうフィードバックのことを言うのかと思った。

What(できていないこと)に踏み込まれていたら、気持ち的に耐えられなかったかもしれない。

コンパッションを感じる文章で、私自身の変化に関してのフィードバックを送ってくださった。

自分もこういうことが言えるコーチになりたいと思った。

 

そうやって2週目が始まった。

意外なほど繰り返し見たのは、1週目の終わりにコーチに送った、ほとんど終了チェックが入っていないToDoリストの写真だ、

ゼロ地点を確認し、それが自分にどんな感覚をもたらし、それをどう変化させたいのかを日々問いかけ続けている。

 

焦る必要はない。あきらめる必要もない。

ただひとつ、自分の望む未来を描いてそのために行動することを自分に認めようと思う。

未来に向けた行動をすることは、自分に未来を変える力と決意があると認めることなのだから。

 

違和感もうまくいくこともいかないこともあるだろうけれど、現状を感じて認識し、どうしたいのかを自分に問いかけて行こう。

大丈夫、だんだんうまくなるから。

そう思っている。

そして、今、人生が楽しいと感じている自分がいる。そのことが嬉しい。

 

*****

 

札幌の部屋でコーチングセッションを受けたとき、この状況は全く予想しなかった。

こんなにいろんなことを考えたり感じたりするとは思いもしなかったし、ここに繋がるとも思っていなかった。

ただ、トライアルする行動を決めただけだ。

やっぱりコーチングは面白い。

 

今後スリップしたら…このブログを読み直そう。そのために書いたのだから。

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