こんにちは。
薬のあらゆる「?」を解決する薬相談の専門家、薬剤師コーチの関口詩乃です。
このところ、カロナール(アセトアミノフェン)とロキソニンの話が続いていますが、、、
本日もアセトアミノフェンのお話です(^^;
先日、アセトアミノフェンは安全性が高い、というお話をしました。
私の中で、この、
「アセトアミノフェンは安全」
ということを言うたびに、思い出すTV番組の場面があります。
15年前、世の中が「ミレニアム」などと言われていたころのお話です。
「本庄保険金殺人事件」という、アセトアミノフェンを大量に飲ませた殺人事件がありました。
なぜ、こんなにも安全性の高い薬で!?
最初にこの事件を聞いたとき、
「なぜ、こんなにも安全性の高い薬で殺人事件!?」
と思ったものです。
不謹慎を承知で言えば、
「もっと、少ない量で殺せる物質は、薬に限らず世の中にたくさんあるだろう!」
とも。
そして、私が何より印象的だったのは、この事件を報じたTV番組のコメンテーターが
「原薬は劇薬だっていうじゃないですか!」
「こんなに危ない成分が含まれている薬が、薬局で、誰でも、
どんな手続きもせず、簡単に買えるなんて!」
という非難のコメントでした。
うん。普段は、
「風邪をひいてもコンビニで風邪薬すら売ってくれないのはどういうことだ!」
「利権産業がっ!!」
とか叩いているのに、
こういうときになると「消費者保護」なんだよね、
などという冷めた自分もいましたが。
しかし、このコメントで初めて、
「私が思っているほど、本当に、アセトアミノフェンは安全なのか?」
と自分の常識を疑ったのです。
小児にも、妊婦にも第一選択で使用される解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェン。
実際のところ、本当に安全なのか?どのくらい安全なのか?
そんなことを調べました。
日本中毒学会では、アセトアミノフェンの毒性について、
成人で150~250mg/kgが1回の摂取で重篤な肝毒性を引き起こす閾値といわれ,350mg/kgではほぼ100%で重篤な肝障害を起こすとされる。
そして,経口での致死量は13~25gと報告されている。
また,10~12歳以下の小児では(中略),成人よりも肝毒性が発現しにくいといわれている。
と案内しています。
致死量の13gというのは、カロナール300の錠剤43-44錠です。
そのくらいの数なら飲めそう、と思う方がいらっしゃるかも しれませんが、
カロナールって、直径が1cmある、大きな錠剤です。
そうそう、飲めるもんじゃありません。
ただ、この殺人事件は、一度に飲ませたのではなく、
風邪薬を栄養剤と偽って、
長期にわたって飲ませていました。
風邪薬ですから、他の薬も含み、錠剤の数も量も増えます。
それこそ、毎回、そんなに飲めるもんじゃありません。
それで、どうやって殺せたのかというと・・・
「大量のお酒を一緒に飲ませた」
からです。
お薬を服用する際に絶対やってはいけないこととは?
副作用が少ないと言われるアセトアミノフェンですが、
絶対にやってはいけないのが「お酒と一緒に飲む」こと。
薬は基本、お酒と飲まないのは当たり前ですが、
アセトアミノフェンは、お酒と飲むことで肝障害が起きやすくなる機序が
解明されています。
小児にも使えるほど安全、というよりも、
肝毒性に関しては、大人より小児の方が安全
ということも、この事件をきっかけに知りました。
安全な薬があるのではなく、
「どうすれば危険を少なくできるかをわかって薬を使う」
なんですね。
PS
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