こんにちは。
薬情報コンサルタント・薬剤師の関口詩乃(せきぐちしの)です。
「痛み止めの薬は飲み過ぎると効かない」と訊いたことはありますか?
今回は、痛み止めの薬は本当に飲み過ぎると効かないのかについてお話ししたいと思います。
痛み止めの薬は飲み過ぎると効かない?
「痛み止めの薬は飲み過ぎると効かないのでしょうか?」
と訊かれることがあります。
通常の量であれば、ほぼ問題ないと言われています。
痛み止めの薬を飲み過ぎるから効かないとうよりも、
「これって飲み過ぎなのでは?」と悩むことで、
飲むタイミングが遅れ、効かなくなったり、
効きにくくなったりしている可能性が高いと思われます。
しかし、飲み過ぎることで頭痛を起こし、
その痛みを止めるために更に薬を飲む、
という薬による頭痛と悪循環は起きることがあるので、
「飲み過ぎてない?」と思うことは大事です。
「痛み止めって飲み過ぎると効かないっていうじゃない?」という話、
聞いたことはありませんか?
「飲み過ぎる、飲み続けると効かない」
という証拠になりそうな論文などは、見つけられませんでした。
(もし、これを読んで「あるよ!」という方がいらっしゃいましたら教えて下さい)
もちろん、そう思う気持ちはなんとなくわかります。
「忍者が少しずつ毒を飲んでおき、体を毒になれさせておいた」
なんて言われているように、薬も、身体が慣れれば、
代謝が早くなって、身体から抜けるようになったり、
身体の反応が弱くなり、効果が弱まるということは、機序としてはあり得ます。
しかし、どんな記事や本を調べても、
大概「1カ月に3-10日間であれば、問題ない」と書かれています。
リウマチ患者さんなどでは、医師の処方のもと、
年単位で痛み止めが飲み続けられていることも考えると、
通常の使用範囲であれば「飲み過ぎると効かない」ということはなさそうです。
それでも「痛み止めの薬が効かない」
という印象を持っていらっしゃる方は結構いらっしゃいます。
これはやっぱり「飲み過ぎ」ではなく、
前回の「効くタイミングで飲んでいない」だと思うのです。
痛み止めの薬を飲み過ぎるとの注意点
ただ、気をつけなければいけないのが、「薬物乱用頭痛」と言われる、
痛み止めを飲み過ぎてしまい、起きる頭痛です。
「痛くなったらすぐセデス」というキャッチコピーに反対するお医者さんがいたのは、
この「薬物乱用頭痛」を心配してのことです。
前回、「痛くなりそうだと思ったら痛み止めの薬を飲もう」と言いましたが、
飲んでも効かなければ、更に薬を追加するのではなく、
別の病気の疑いをとるためにも、医師の診察をうけることをお勧めします。
薬とは、頼りすぎず、離れ過ぎずのお付き合いが必要なんですね。