こんにちは。
薬情報コンサルタント・薬剤師の関口詩乃(せきぐちしの)です。
漢方に対して、「穏やかな効き目」とか「西洋薬よりも安全」というイメージを持っている方がいるようです。
漢方についての薬情報コンサルタント・薬剤師の考えをお話しします。
漢方薬に対する薬情報コンサルタント・薬剤師の考え
風邪薬についてブログを書いた際、
「私は風邪のひき始めには葛根湯を飲むことがある」
ということをお伝えしました。
(関連記事:「薬情報コンサルタントはどうしている?風邪薬の選び方は?」)
薬情報コンサルタント・薬剤師である私が「葛根湯を飲む」というと、
我が意を得たり、という顔をされることがあります。
そして、「やっぱり漢方の方が身体にいいんですよね!」と言われることがあります。
・・・これ、誤解です。
まず、漢方も薬です。身体にいい、という発想で使うものではありません。
必要な時、必要なだけ使うもので、積極的に摂取するようなものではありません。
そして、漢方に対して、「穏やかな効き目」とか「西洋薬よりも安全」というイメージがあるようなのですが、
実は私、この感覚が、全くわかりません。
なぜなら、私が薬学を学び、薬剤師になった1990年代、「小柴胡湯(しょうさいことう)」という漢方で、
間質性肺炎という重い副作用が多数報告され、大きな問題になりました。
漢方薬にも、当然、副作用はありますし、場合によっては、
死亡するほどの副作用すら起こすことがある、そんな実感を持っているのです。
漢方は、西洋医学よりも穏やかで安全なのではなく、
西洋医学とは別の発想で成り立っている薬です。
漢方は、西洋医学が苦手な病気や症状に対して、結構、効果を発揮することがあります。
例えば冒頭の葛根湯。
「葛根湯と総合感冒薬では、やっぱり葛根湯がいいんですか?」
と質問されます。
引き始めで、寒気がして、身体(筋肉)が硬く凝っている感じ、
「これから熱があがりそう・・・」
という気配のとき、葛根湯は効きます。
逆に、唐突に39度の熱を出している時などは、飲んでも無駄です。
正直、好みの問題な気もしますが、少なくとも私は、
西洋医学の、対症療法で症状を抑え込むという総合感冒薬よりも、
汗をかいて、熱や痛みを発散させて治すという葛根湯の作用機序が好きです。
なんとなく安全そうだから、と、漢方を選ぶのではなく、
「漢方も薬だ」
ということを理解した上で、医師や薬剤師の説明を聞いてくださいね。
あ、そうだ。
葛根湯も試してみようかな、と思ったあなた。
葛根湯は、空腹時(食前または食間)に飲んでくださいね。
そうしないと、効きません!