なぜAIがコーチングを変えるのか?

最近、ChatGPTの有料ユーザーになった関口詩乃です。

 

今度の土曜日(2025年2月15日)、MBCC(関口がコーチ・トレーナーを務める団体)で「AI時代に必要なコーチングのスキル」という「ICFコア・コンピテンシー(※)」のワークショップをやる、という話を最初に聞いたとき、真っ先に思いました。

 

「なぜ、AIとコア・コンピテンシー??何の関係が??」と。

「コアコンピテンシーを守るということと、AIが何の関係あるの?」と。

 

で、考えて私なりの表現にしたのが今日のこのお話です(個人の感想です)。

ICFコア・コンピテンシー:ICF(国際コーチング連盟)が定めるコーチとしての核となる能力水準…平たく言うとICFのコーチはこの基準に沿ってコーチングをしようね、というもの。

 

何かルールを守ってやるべきことをするというのは、人間よりもAIの方が得意です。○○を守れ、という命令をすれば必ず守ります。

だから、「ICFのコアコンピテンシーを守ったコーチングをしなさい」というのは、人間よりもAIが得意ってこと? だとすると、AIコーチの方が優れているってこと?

(余談ですが、ICFではすでに「コーチ」というカテゴリーが「AI Coach」と「Human Coach」に分かれるらしいです)

そんなことをまず思いました。

 

しかし、ここで考えなければいけないことが2つ。

  1. コーチングを受ける相手が人間だということ
  2. コア・コンピテンシーを順守するってそもそもどういうこと?

ということです。

 

まず、1について考えてみましょう。

 

人間は、不合理で、不条理な生き物です。

言葉にして口に出していることと、感じていることや考えていること、感情や距離感が違うことも多いです。

 

相手の話を聞いていて

「自分の話のはずなのに、他人事のように話しているな」

「大変だった、腹が立ったと言っているけどどこか嬉しそうな声や表情をしている」

「なぜ、この言葉だけ言いよどんだり繰り返したりするんだろう?」

と感じた経験のある方も多いでしょう。

 

言葉(コンテンツ)のみから判断すると、相手の実際の気持ちや本当に考えていることを聞き逃す恐れがある、ということは言えます。

今後、AIが更に進化し、このあたりまでカバーできるようになる未来は来るかもしれませんが、人間どうしの存在や気配まで理解するのは、まだまだかかるような気がします。

 

我々は言葉に対してではなく、その言葉を発しているクライアントに対してコーチングをしています

クライアントが何を言っているか、という想定の範囲がAIと人間ではまだ違い、その違いはコーチングの成果を左右するように感じています。

逆に言えば、コンテンツ(言っていること)のみでやり取りをするなら、AIの方が正確かもしれない、ということでもありますが。

 

次は2つ目のコア・コンピテンシーを順守するのはそもそもどういうことなのか、を考えてみたいと思います。

 

「コアコンピテンシーを守る」とはどういうことなのか?

「コアコンピテンシーに沿ったコーチング」とは何なのか?

実は、これがよくわかっていないのではないかと思うのです。

 

例えば、AIに「ICFのコアコンピテンシーを守ったコーチングをしなさい」と指示したとします。

おそらくAIは、各項目について「合致する」「合致しない」というジャッジをするでしょう(コア・コンピテンシーは8つのコンピテンシーがあり、各コンピテンシーに細目がそれぞれある)。

 

しかし、全体としてコアコンピテンシーが何を言い、何を実現しようとしているのか?

その全体の視点はAIにはありません。

 

ここで思い出すのが「盲導犬の利口な不服従」です。

例えば、飼い主が「行け」と指示したとしても、目の前の信号が赤だったり、車が通っていたりする場合、盲導犬はあえてその命令に従いません。このような判断を「利口な不服従」と呼びます。

コーチングにはこの「盲導犬の利口な不服従」のように、目的や状況に応じた柔軟な判断が求められると私は思います。

利口な不服従が、一見、命令に従っていないように見えても飼い主が安全に道を渡るという目的から外れていないように、
コーチングでも、一見、あるコンピテンシーに沿っていない(例えば話を途中でカットするなど)ように見えても、クライアントがこの時間で成果につながる会話をする、という目的からは外れていない、というようなことは起こりうると思うのです。

 

反対に、それぞれの項目ごとに単純に○×評価をすれば順守していることになるという考え方だと、AIにはかないません。

AIの登場によって、かえって人間のコーチには、単純な○✕ではなく全体のコンテクストを見てコーチングを判断する必要性が高まっていると思うのです。

 

極端な話、例えば「対等な関係性を示すには、『ご苦労様です』や『なるほど』などの上限関係を感じさせる言葉遣いをしてはいけない、みたいなこと、言われたことありませんか?

たしかにするよりはしない方がいいかもしれません。でも、対等な関係性って、言葉さえ対等な言葉を使っていれば実現するの?という疑問があります。人間は、どうやって対等で安全な関係だと認識するんだろう、みたいな。

 

AIに「対等な関係性を重視せよ」と指示した場合、おそらくこのような「なるほど」や「ご苦労様です」といった言葉は、対等な関係に合わないから✕と判断される可能性があります。

 

しかし、実際のコーチングでは、単に言葉だけではなく、口調や表情、関係性の中で相手に伝わるものがあります。

AIがそのような判断が得意な反面、全体性についてはまだこれからな分、Human Coachは単純な◯✕ではなく、「コアコンピテンシーに沿ったコーチングとは何か?」を、より深く考えることが求められるのではないでしょうか?

 

そしてそれらをどうやって学び身に着けていくのか?

コア・コンピテンシーの学びそのものが、AIコーチの登場によって大きく変わる可能性を感じています。

 

だからこそ今回の講座では、コアコンピテンシーを単に学ぶのではなく「AIコーチング」と結びつけて考えるのだと、やっと納得しました。

もともと私たちMBCCでは、コアコンピテンシーを学ぶ際、「このシチュエーションでは、こういうことが起こっているから、これでいいよね」といった話をしてきました。

単純に「◯か✕か」だけを見ていたわけではありません。

そして、ソマティック、身体感覚、感情といったこともマインドフルコーチングでは大事なものとして扱っています。

 

それでもただ一つ言えるのは、AIコーチの登場によって、これまで以上に「人間が人間に言語だけでコーチングをする時代は終わった」「コア・コンピテンシーの理解と順守は単純な◯✕では済まされない」という現実を、我々ヒューマンコーチが突きつけられている、ということです。

 

逆に言えば、AIコーチにはそれだけ可能性があります。

いつでもどこでもコーチングを受けられて、守秘義務も法令順守も完璧。私情も挟まないし「これはちょっと話しにくいな」と感じることもない。

しかもAIは学習し続け進化し続ける。

対立ではなく、AIコーチが得意なこと、Human コーチが必要なことを補完しあっていけるといいな、という未来を描きました。

 

どんなアンテナを持った人が集まり、どんな学習と実践になるのか、土曜日がとても楽しみです。

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