太田胃散は調味料?

こんにちは。
薬のあらゆる「?」を解決する薬相談の専門家、
薬剤師コーチの関口詩乃です。

 

先日、友人に訊かれました。

「太田胃散をミルクティーに入れると、チャイになるって本当?」

 

薬剤師的な模範解答は

「太田胃散は薬なので、料理には使わないでね」

なのですが。。。

太田胃散、スパイスとして

・カレーにかける
・クッキーに入れる

というお話は、聞いたことがありました。
(実際にやっている人は見たことがなかったけれど)
そして、今度はチャイです。

 

薬剤師たるもの、

1)太田胃散は通常使われているスパイス類の代用になるのか?(有効性)
2)太田胃散をスパイスの代用にしても良いのか?(安全性)

を考えてみました。

 

では、太田胃散の成分を見てみましょう。
1回1.3g(添付さじすりきり1杯)中の成分です。

 

【健胃生薬】
ケイヒ  92mg
ウイキョウ  24mg
ニクズク  20mg
チョウジ  12mg
チンピ  22mg
ゲンチアナ  15mg
ニガキ末  15mg

 

【制酸剤】
炭酸水素ナトリウム 625mg
沈降炭酸カルシウム  133mg
炭酸マグネシウム  26mg
合成ケイ酸アルミニウム  273.4mg

 

【消化酵素】
ビオヂアスターゼ  40mg

 

 

まず、1)有効性です。

健胃生薬(胃の働きを良好にし、 胃液の分泌を調整する生薬)を見ると、
ゲンチアナとニガキは苦味の成分(苦味が健胃効果を発揮する)ですので、
通常、スパイスには使いません。しかし、

 

ケイヒ(桂皮) ⇒ シナモン
ウイキョウ(茴香) ⇒ フェンネル
ニクズク(肉荳蔲) ⇒ ナツメグ
チョウジ(丁子) ⇒ クローブ
チンピ(陳皮) ⇒ ミカンの皮を干したもの
ですので、
確かに、ミックススパイスの代わりに使いたくなる気持ちもわかります。
苦味はあるけれど、香りづけに使うくらいの量であれば、問題なさそうです。

 

次に、2)安全性です。

制酸剤や消化酵素が入っているものを、料理に使って摂取するということは、
胸やけや胃もたれがあるわけでもないのに、薬を飲むということです。

 

うーん。。。

制酸剤の主成分、炭酸水素ナトリウムは、言ってみれば「重曹」です。
重曹自体が食品添加物でもあり、重曹単体、またはベーキングパウダーの主成分として、
生地を膨らませるのに使います。
そのほかにも、夏みかんにつけて食べたり、メジャーな食品添加物です。

ただ、それなら大丈夫なのか?と言われると、

やっぱりおすすめはできない

というのが結論なんです。

 

生薬は、スパイスとして考えるとしても、
制酸剤にしろ、消化酵素にしろ、薬です。

定められた使い方をしなかった場合、、、

 

どんな不具合(副作用)が出るかはわからないし、対処法がわからないよ、
というのが1つめの理由です。

 

 

そして、そもそも、薬は飲まないに越したことはありません。
薬とは、積極的に使うものではなく、必要なときに仕方なく使うものです。
必要ないのに、薬の成分をわざわざ体内にいれることはないよ、
というのが2つ目の理由です。

 

気持ちはなんとなくわかるんですよ。
お家に太田胃散の缶があって、そういう噂を聞いたら、
やってみたくなるだろうなって。

 

 

子供の頃、
「きゅうりにハチミツをかけるとメロン味になる」
という噂を聞いて、やってみたこと、ありませんか?

意外なことで、面白そうで、ちょっとワクワクする。
しかも、身近にあって、お手軽に試せる。
さらに、いかにも本当っぽい。

そんな感覚だと思うんです。

それでも。
やっぱり、

 

薬の専門家である以上、薬の大原則は曲げたくない。

 

薬って、みんなどこかで気になってるから、
こういうネタが生まれるんだろうなと思います。

 

 

PS

こんなあなたの身の回りで、「薬に関する『?』」があれば、
今なら、無料で相談を受け付けています。

もしよろしければ、こちらも覗いてみてくださいね。

▼▼ 無料のお薬相談はこちらから ▼▼

https://www.3poyoshi.jp/lp/fcons/internal/

 

 

薬とコーチと解体新書ブログ
【さんぽうよし】のメルマガ

薬とコーチと解体新書ブログ【さんぽうよし】の更新情報をメールで受け取る事ができます。
メルマガでは【さんぽうよし】の更新情報の他に、薬剤師 関口詩乃が薬に関する情報提供を行っていきます。

健康になるために、もっと言うなら幸せになるために薬を服用しているはずなのに、薬を飲んでいるが故の不安を抱えている方はたくさんいます。

世の中の常識となっている薬についての知識・・・
それって本当に正しいですか?
薬や医療について本当の知識を得たい方へ、
薬とコミュニケーションと解体新書を関口が熱く語るメルマガです。
是非ご登録ください!

メールでさんぽうよしの更新情報を受け取る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*