危険ドラッグはハーブか?

こんにちは。

薬情報コンサルタント・薬剤師の関口詩乃(せきぐちしの)です。

 

最近、危険ドラッグを使った人たちの事件・事故のニュースをよく聞きます。

「本当のところ、危険ドラッグはそんなに危ないの?」

ということについてお話したいと思います。

 

危険ドラッグはハーブか?

 

クスリの主体は、ハーブではなく、草にかかっている合成した薬品です。

決して自然界のものではありません。

 

最近、危険ドラッグを使った人たちの事件・事故のニュースをよく聞きます。

そして、周りの「ちょいワル(←死語?)」な雰囲気を出したい方々から、

「本当のところ、危険ドラッグはそんなに危ないの?」と訊かれます。

 

そんな友人の一人、Y君と話していて、「えっ?」と思ったお話しです。

 

Y君「昔から、マジックマッシュルームとかあったし、危険ドラッグって言っても、

しょせん、薬草とかハーブとかをあぶったりしているだけなんだろ?」

 

いえ、あの、あれ、薬草でもハーブでもないですから。

純然たる薬物ですから。

 

そもそも、人体に作用するものとして販売すると、薬事法違反になるので、

「お香」として販売してきた、ラリる(←これも死語?)成分を含む植物たち。

確かに、そんな時代もありました。

 

だがしかし。

今の危険ドラッグは、基本、そんな穏やかなものではありません。

「ハーブとして販売するために、ハーブに見せているけれど、

クスリ成分をまぶしてあるので、あくまで、ラリる本体はまぶしてあるクスリです」

 

Y君「それって、マジックマッシュルームとかより強いってこと?」

確かに、抽出や合成をしている分、昔のそれらの植物よりも強い可能性は高いです。

 

危険ドラッグがハーブではない理由

 

でもね、Y君。

危険ドラッグは

「まぶしてあるクスリが、どこでどうやって作られてる、どんなものだかわからない」

ことに怖さの本質があるのですよ。

 

Y君「えっ? どっか、工場とかでちゃんと(?)作ってるんじゃないの?」

 

どうやら、「合成されたもの」というと、

近代的な工場で作られているイメージを持っている様子のY君。

 

私からしたら、

「ハーブではなく、ハーブに見せかけた、薬を草にまぶしたもの」

だと知らないことも驚いたけど、

「合成されたものは近代的・衛生的に作られているはず」

というイメージに更に驚きました。

 

実際、どんな工場で作っているのかはわかりません。

しかし、限りなく違法に近い、見つかり次第違法薬物になるクスリ、

通常の医薬品の製造基準を守る必要がないクスリに対して、

どこの誰が、お金をかけて、手間をかけて、

清潔で高純度な良品を作ろうと思うのでしょう?

 

Y君に言いました。

「あのね、ここに、未開封のペットボトルの水が2本、あったとするじゃない?」

「1本は、知っているメーカーのきれいなラベルが貼られていて、中の水も透明」

「もう1本は、見知らぬ国の見知らぬ言葉のラベルが貼られていて、中の水には、細かい何かが浮いている」

「水のボトルだったら、後者のボトルなんて、絶対に選ばないし、

もらったとしても中の水を飲もうとは思わないでしょ?」

「危険ドラッグは、私から言わせれば、後者のボトルの水なんだよ」

 

・・・もちろん、「それなら、きれいな水のボトル=純度の高い、良質のドラッグならいいのか?」

という話ではありません。

 

しかし、水ならだれも不純物が入っているものや製造過程が怪しいものには手を出さないのに、

危険ドラッグに対しては、そういう想像が働かないことに、薬剤師としてはおどろいたのです。

 

違法薬物は、何であれダメですが、薬剤師的には、危険ドラッグは、

ドラッグとしてもダメだということを力説したY君との会話でした。

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