札幌マルヤマンとコーチングと私(18)

こんにちは。薬剤師コーチの関口詩乃です。

このお話は「札幌マルヤマンとコーチングと私」
第1章:円山動物園に行くまでの経緯:(1)(2)(3)(4)(5)
第2章:円山動物園で見たこと:(6)(7)(8)(9)(10)(11) 、
第3章:講演実現まで:(12)(13)(14) 、(15)(16)
第4章:講演準備:(17) の続きです。

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最初はマレーグマの「ウッチー」のことだった。

若いペアの仲介をすべく同居していた高齢のメスのマレーグマが、若いオスに攻撃されて死亡した事故だ。
動物管理センターという、本来ならペットなどの虐待を扱う部門からの改善勧告が出る事態になっていること、動物園としてはあってはならない非常に恥ずかしいことだとお話しになった。

次に、シマウマ「飛馬」のことだ。

この時点で飛馬死亡からまだ5日しか経っておらず、ニュースでは「相次ぐ動物の死亡」として、円山動物園が叩かれ始めた時期である。
この事故については輸送中の事故であり、その管理体制や協力業者も含めた体制などから、残念な事故ではあったけれど、仕方のないことでもあり、動物がたまたま続けて死ぬこともある、というお話だった。
すでに円山動物園を離れている北川さんが話すことが出来る、精一杯の話だと、まず思った。

 

どこの組織も残念ながら「常に最高」の状態ではない。
波もあり、揺り戻しもありながら、それでも形を変え、ときに姿を変えながら進化していくのが組織という生き物だと思っている。

 

これはどこの組織でもそうだが、なんらかの問題が表面化する時には、水面下でその組織に他の問題、人的な問題が起きている可能性がある。
チームワークの綻びは、一見関係のない、大きな問題を引き起こすことは、組織で働いた経験のある人なら心当たりがあるだろう。

 

北川さんが、そこを気にしないはずはない。
しかし、お話の中では一切でなかった。

 

しかし、
円山動物園は、必ずまた良い方向に向かう
と北川さんは言った。

 

批判することは簡単だ。
誰でもできる。
ましてや、V字回復させた右肩上がりのままその組織を離れた北川さんは、実績も持っているし、内情も集まりやすいだろうし、鋭い指摘くらいいくらでもできるだろう。

 

でも、北川さんは、一切の批判的なことは口にせず、次に向かう話をした。
話をした、というより、北川さんが信じていることを口にした、という感じだったのが印象的だった。
この円山動物園の死亡事故、特にシマウマのお話で、
「動物園での死亡事故って、妊娠中の薬の服用と同じジレンマを抱えているよね」
と(あまりにも薬マニアな表現なので決して言葉には出さなかったが)思っていた。

 

妊娠中に薬を飲むとき、大概の人は気にする。
「この薬を飲んでお腹の子供は大丈夫だろうか?」
と薬剤師としてよく訊ねられるが、
「大丈夫です」
とは決して言えない。

 

もし、どんなに詳細なデータがあるとしても
「薬を飲まなかった場合と比べて、出生率や奇形率に違いはありません」
ということに過ぎない。
薬を飲まなかったとしても、早産も死産も先天奇形も起こり得るからだ。
(薬を飲んだら100%安全に子供が生まれてくるなら、その薬を誰もが飲むだろう)
しかも、詳細なデータがないことの方が多い。

 

薬を服用していた妊婦さんで残念な結果となると
「薬のせいでは?」
と真っ先に疑われる。
当たり前だ。
「通常と違うこと」を探したいのだ。

 

しかし、それが「本当に薬のせい」なのか「自然発生の範囲」なのかを個別の症例で判断することは、とても難しい。
科学の限界だと思っている。

 

結局、統計的な話しかできない。
だが、統計的有意差はありません、という返答は、実際に薬を飲んで且つ望まない結果になってしまった妊婦さんにとっては「責任逃れ」「いい加減」と憤りを感じる返答だ。
これもまた当たり前だ。
当事者にとっては統計上の話ではない。
100%の事として、その身に起きていることだからだ。

 

薬を扱う者として出来るのは、それでも、未来の患者さんのために
「本当にこの薬が問題なのか否か」
を調査・検証し、安全な使用への努力を続けていくことだ。
自然界でも動物は死亡する。
同じ地域の動物が、関連なく続けて死ぬこともあるだろう。

 

でもそれは、動物園でも同じだ。
動物園にいれば不老不死になれるわけではない
動物園にいても誤嚥も発作も起きる。

 

今回のようなことが起きれば、
「動物園の管理に問題があるんじゃないか?」
真っ先に疑われる
「自然界と違うこと」を探される。

 

だが、「全てが動物園の落ち度か?」「違うならどこまでが動物園の落ち度か?」という問いに答えることは、かなり難しい。

 

しかし、「統計的には・・・」などと答えれば、「責任逃れ」「隠ぺい」と批判される。
動物が死んだ、という事実は、それだけのインパクトがあるのだ。

 

それでも、
「本当に動物園の飼育に問題がなかったか」
を検証し、次につなげる努力をしていくしかない。
「うちの(薬や動物園の)せいではないから別にいい」ではなく、「もっと何かできることはないか」とリスクを下げる努力を怠ることはない。
科学的な判断による責任と、少しでもリスクを減らす努力はある意味、別問題だ。
今回の死亡事故について、そんなことを思いながら話を聞いていた私に、
「ところで・・・」と北川さんは、今回の打ち合わせで最も衝撃的な話を始めた。

 

(続く)

 

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